麻疹ワクチンの空白世代とは?接種歴が曖昧な人はどうする?
麻疹(はしか)は子どもだけでなく大人も感染します。免疫が不十分な大人が感染すると重症化しやすく、職場や家庭、医療機関などで周囲に感染を広げてしまうリスクもあります。
麻疹対策でよく耳にする「麻疹ワクチンの空白世代」とは、制度の変更によって「麻疹ワクチンを接種する機会がなかった世代」、または「1回しか機会がなかった世代」のことです。
現在の日本では、MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を2回接種する制度になっています。定期接種は、1歳の時期に1回、小学校入学前の1年間にもう1回行う仕組みです。厚生労働省も、確実に免疫をつけるためにはMRワクチンの2回接種が必要であると示しています。
なぜ「空白世代」があるのか
日本の麻疹ワクチン制度は、最初から現在のような2回接種だったわけではなく、時期によって以下のように変遷してきました。
- 1978年10月: 定期接種がスタート(当時は1回接種)。
- 2006年6月: 麻疹・風疹について2回接種の制度が導入。
- 2008年度〜2012年度: 中学1年生相当、高校3年生相当の年齢に対して、追加の接種機会が時限的に設けられる。(国立感染症研究所)
そのため、生まれた年代によって制度上の接種機会に以下のような違いが生じています。
年代別の接種機会の特徴(目安)
| 世代の目安 | 接種機会の特徴 |
|---|---|
| 1972年9月30日以前生まれ | 定期接種の機会がなかった可能性が高い世代 |
| 1972年10月1日〜1990年4月1日生まれ | 定期接種は原則1回だった世代 |
| 1990年4月2日以降生まれ | 2回接種の機会があった世代 |
※注意
これはあくまで制度上の目安です。実際に接種したかどうかは、母子健康手帳や接種記録を確認しないと分かりません。また、子どものころに麻疹にかかった経験がある人は、自然感染によって免疫を持っている場合もあります。
なぜ2回接種が必要なのか
麻疹ワクチンは効果の高いワクチンであるとされますが、1回接種した全員に必ず十分な免疫がつくわけではありません。国立感染症研究所は、2回接種が必要な理由として、1回目で免疫がつかなかった人に免疫を与えること、時間の経過で弱まった免疫を強めること、1回目を受けそびれた人に再度の機会を作ることを挙げています。
厚生労働省も、MRワクチン接種によって95%程度の人が麻疹ウイルス・風疹ウイルスに対する免疫を獲得できると説明しています。また、2回接種により、発症予防、重症化予防、周囲への感染拡大リスクの低下が期待されるとしています。
つまり、1回打っていれば十分というより、2回接種で免疫をより確実にするという考え方です。
大人が注意すべき点
麻疹は感染力が非常に強い感染症で、免疫がない人が同じ空間にいると、短時間の接触でも感染することがあります。そのため、接種歴が不明な大人は、自分だけでなく周囲を守る意味でも確認しておく価値があります。
特に確認しておきたい人
- 医療・介護・保育・教育の現場で働く人
- 妊婦や乳児と同居している人
- 海外渡航を予定している人
- 接客業など、不特定多数と接する機会が多い人
- 1972年以前生まれ、または1回接種世代に当たる人
- 母子健康手帳がなく、接種歴が分からない人
妊娠を希望する女性への注意点
麻疹そのものは妊娠中に感染すると問題になることがありますが、MRワクチンは生ワクチンのため、妊娠中は接種できません。妊娠を考えている女性は、接種前後の避妊期間も含めて医師に相談する必要があります。厚生労働省は、MRワクチン接種後2か月程度は妊娠を避ける必要があると説明しています。(厚生労働省)
接種歴の確認
大人ができる現実的な対応は、まず接種歴を確認することです。
母子健康手帳、予防接種記録、学校や職場の健康記録などに、麻疹ワクチンまたはMRワクチンの接種歴が残っていないか確認します。記録が2回分あれば、基本的には大きな心配は少ないと考えられています。
記録が1回しかない場合や、そもそも記録が見つからない場合は、医療機関で相談します。選択肢としては、抗体検査で免疫の有無を調べる方法と、医師と相談したうえでMRワクチンを接種する方法があります。
追加接種の安全性について
接種歴が不明な場合でも、過去に接種していたからといって追加接種が直ちに危険になるわけではないとされています。ただし、持持病、妊娠、免疫抑制薬の使用などによって接種できない場合があるため、自己判断ではなく医療機関で確認することが大切です。
「空白世代」は不安をあおる言葉ではない
「空白世代」と聞くと、自分が危ない世代なのではないかと不安になるかもしれません。しかし、この言葉は不安をあおるためのものではなく、接種記録を確認するきっかけとして捉えるのがよいと思います。
麻疹は、ワクチンで防げる感染症です。制度上の接種機会が少なかった世代でも、今から確認し、必要に応じて対応することはできます。
大切なのは、自分の記憶だけに頼らないことです。「たぶん子どものころにかかった」「たぶん打ったはず」と思っていても、記録がなければ確実とは言えません。特に、人と接する仕事をしている人、妊婦や乳児と接する機会がある人、海外に行く予定がある方は、一度確認しておくと安心です。
まとめ
- 麻疹ワクチンの空白世代とは: 制度上、麻疹ワクチンを受ける機会がなかった世代、または1回しか受ける機会がなかった世代を指して使われる言葉です。
- 現在の仕組みとリスク: 現在はMRワクチンを2回接種する仕組みになっていますが、大人の中には、2回接種が済んでいない人や、接種歴が分からない人がいます。麻疹は感染力が強く、大人が感染すると重くなることもあるため、接種歴の確認は自分と周囲を守るための大切な準備です。
- 推奨されるアクション: まずは母子健康手帳などで記録を確認し、不明な場合は医療機関で抗体検査やワクチン接種について相談するのがよいと思います。
参考
ドーパミン・デトックス
スマートフォンを開くと、動画やSNS、ニュースが次々に出てきます。少しだけ見るつもりでも、気づくと長い時間が過ぎていた、ということはあるかと思います。
こうした状態を見直す言葉として、「ドーパミン・デトックス」が使われることがあります。この言葉だけを見ると、何か特別な方法のように感じるかもしれませんが、強い刺激に触れる時間を減らし、頭が落ち着く時間を作る考え方として理解するとわかりやすいと思います。
この記事では、ドーパミン・デトックスとは何か、なぜ注目されているのか、日常生活の中でどのように取り入れればよいのかを整理してみます。
ドーパミン・デトックスとは何か
ドーパミンは、脳の中で働く物質の一つです。何かをやってみようと思う気持ちや、楽しみを感じる気持ち、次の行動へ向かう意欲に関わっています。つまり、ドーパミン自体は悪いものではありません。
問題になるのは、短い時間で気分が大きく動く刺激を何度も受け続けることです。動画、SNS、通知、ゲームなどに次々と触れていると、脳は「すぐに気分が動くもの」に慣れていきます。すると、読書や勉強、地道な仕事のように、結果がすぐ出ないものに気持ちを向けにくくなります。
ドーパミン・デトックスとは、この状態をいったん見直すことです。ドーパミンをなくすことではなく、刺激との付き合い方を整えることが中心になります。
なぜ気になる人が増えているのか
刺激の強いものに何度も触れていると、集中が細かく途切れます。たとえば、作業の途中で通知を見る、SNSを少しだけ開く、短い動画を一本だけ見る、ということを繰り返すと、頭はそのたびに切り替わります。その結果、ひとつのことを続ける力が落ちやすくなります。
また、刺激の強いものを見たあとに、頭が疲れた感じだけが残ることもあります。これは、短時間で何度も気分を動かしたために、落ち着いて考える時間が減るからです。
次のような状態が続いているときは、刺激との距離を少し見直す意味があると思います。
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手が空くとすぐスマホを開く
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本を読んでも内容が頭に入りにくい
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作業を始めても別のことが気になる
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動画を見たあとに満足感より疲れが残る
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静かな時間に落ち着かない
誤解しないでおきたいこと
ドーパミン・デトックスという言葉を聞くと、「楽しみを全部やめること」と受け取られることがありますが、そうではありません。娯楽そのものが悪いわけではなく、刺激が強いものに時間を取られすぎると、気持ちや注意が引っぱられやすくなるということです。
また、スマホやSNSを完全にやめる必要もありません。仕事や連絡に必要な人もいますし、息抜きとして楽しむことにも意味があります。大切なのは、使うことではなく、使い方が自分で決められているかどうかです。
どんなものが刺激になりやすいか
刺激になりやすいものには共通点があります。それは、短い時間で気分が動き、次を見たくなることです。
たとえば、SNSのタイムラインは、次々と新しい情報が出てきます。短い動画も、ひとつ見終わる前に次が並びます。ネット通販も、次の商品、次のおすすめへと視線が移ります。こうしたものは、一区切りがつきにくいため、やめ時を決められなくなります。
反対に、散歩、読書、手書きのメモ、料理、片づけなどは、気分の動き方が穏やかです。派手さはありませんが、そのぶん頭が落ち着きやすくなります。
どう始めればよいか
取り入れるときは、急に極端なことをしないほうが続くと思います。刺激の強いものを全部やめようとすると、反動が出やすくなります。最初は、刺激の多い時間を少し減らすくらいで十分かと思います。
たとえば、次のような方法があります。
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朝起きてから30分はスマホを見ない
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食事中は動画を流さない
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寝る前の1時間はSNSを開かない
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移動中の一部はスマホではなく景色を見る
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通知を必要なものだけに絞る
こうした小さな変化でも、頭の動き方は変わります。朝すぐに情報を入れないと、自分のペースで一日を始めやすくなります。寝る前に刺激を減らすと、気持ちが落ち着きやすくなります。
休日に試すなら
まとまった時間が取れる日は、半日だけでも刺激を減らしてみる方法があります。スマホ、動画、SNS、買い物アプリなどから少し離れて、別の行動に時間を使います。
たとえば、
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散歩をする
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紙の本を読む
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ノートに考えを書く
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部屋を片づける
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ゆっくり食事をする
このような過ごし方です。最初は手持ち無沙汰に感じることがありますが、それは刺激の強いものに頭が慣れているためです。しばらくすると、気持ちが少し静かになる感覚が持てるようになるかと思います。
続けるために大切なこと
続けるには、「見ないように我慢する」だけでは足りません。その時間に何をするかが決まっていないと、元の行動に戻りやすくなるからです。
たとえば、寝る前にスマホを見ないと決めたなら、その代わりに本を一冊置いておく、音楽を静かに流す、明日の予定をメモする、というように、別の行動を用意しておくと続けやすくなります。
つまり、ドーパミン・デトックスは「やめる工夫」だけでなく、置き換える工夫が大切になるかと思います。
こんなときは無理をしない
気分の落ち込み、不安、不眠、強い無気力が続いているときは、刺激の問題だけではない場合があります。その状態で「もっと自分を律しないといけない」と考えると、かえって苦しくなることがあります。
生活を整えてもつらさが続くときは、かかりつけ医や心療内科などに相談したほうがよい場合もあります。刺激を減らすことは生活の見直しとして役立ちますが、それだけで解決しないこともあります。
おわりに
ドーパミン・デトックスという言葉は少し大げさに聞こえるかもしれませんが、やることは意外とシンプルです。刺激の強いものに触れる時間を少し減らし、落ち着いて過ごせる時間を増やすことです。
毎日の中で、朝、食事中、寝る前のどこか一か所だけでも変えると、頭の疲れ方や時間の使い方が少し変わってくることがあります。
全部をやめる必要はありません。まずは、自分が引っぱられやすい刺激を一つ見つけて、そこから少し距離を取ってみる。そのくらいの始め方が、無理なく続けやすいのではないかと思います。
さい帯血バンク
さい帯血バンクとは
さい帯血バンクとは、赤ちゃんが生まれたときにへその緒や胎盤に残っている血液(さい帯血)を保存し、医療に役立てる仕組みのことです。さい帯血には、血液を作り出す「造血幹細胞」が多く含まれており、白血病などの血液の病気の治療に利用されることがあります。
出産後の胎盤やへその緒は通常は廃棄されますが、その中に残る血液を採取して保存しておくことで、将来の治療に活用できる可能性があります。
さい帯血で治療できる病気
さい帯血に含まれる造血幹細胞は、骨髄移植と同じように血液を作る細胞を回復させる治療に使われます。現在は主に次のような病気で利用されています。
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白血病
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再生不良性貧血
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悪性リンパ腫
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先天性の免疫疾患
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代謝異常症
骨髄移植の代わりに使われることもあり、適合するドナーが見つからない場合の重要な治療手段になっています。
公的バンクと民間バンクの違い
さい帯血バンクには、大きく分けて2つの種類があります。
公的さい帯血バンク
出産時に提供されたさい帯血を、誰でも治療に使える医療資源として保存する仕組みです。提供されたさい帯血は匿名化され、適合する患者の治療に利用されます。費用はかからず、社会的な医療資源として管理されます。
民間さい帯血バンク
出産時に採取したさい帯血を、その子どもや家族が将来使う可能性に備えて保存するサービスです。長期間の保存費用が必要になります。
さい帯血のメリット
さい帯血には、骨髄移植にはない特徴があります。
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採取が簡単で母子に負担がない
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すでに保存されているため、移植までの準備が早い
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骨髄移植より適合条件がやや緩やか
そのため、世界各国で重要な医療資源として活用されています。
注意点
一方で、さい帯血の利用にはいくつかの注意点もあります。
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保存したさい帯血が必ずしも本人の治療に使えるとは限らない
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保存量が少ないため、大人の移植では不足する場合がある
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民間バンクでは費用が高額になることがある
そのため、保存を検討する場合は、制度や費用、利用可能性についてよく理解しておくことが大切です。
まとめ
さい帯血バンクは、出産時に得られるさい帯血を保存し、白血病などの治療に役立てる仕組みです。公的バンクは医療資源として社会全体のために利用され、民間バンクは家族の将来の治療に備える目的で保存されます。
出産時にしか採取できない貴重な資源であるため、制度の内容を理解し、家庭の考え方に合った選択をすることが大切だと思います。